政策文書の策定・見直しにおける提言ノウハウ


政策のほとんどは文書によって決められる。国会で決議が必要な法律やその細則を決めた省令や規則、方針や目標として閣議決定を行う大綱や計画などがある。

策定・見直しのタイミングをつかむ

省庁がその政策文書の策定を担当している場合、担当者に連絡を取り、策定・見直しのタイミングを知ることが重要になる。内閣が提出する予定の法律案や政策文書の策定・見直しの前には、大学教授や業界団体の代表などから構成される審議会や首相・大臣の私的諮問機関で議論が行われ、その提言を根拠として策定・見直しされるケースが多く見られる。法律や大綱、計画の中には、見直しを検討する期間がその文書の中に定められているものもある。

策定・見直しのプロセスを把握

政策の中には市民にはほとんど公開されずに、決定後に出されるものもあるが、現在では国民生活に影響を及ぼす政策の新設・変更に際して、パブリックコメント(政策文書の決定前に期間を設けて市民からの意見を受け付けること)を実施すことが原則とされており、市民の関心の高い分野については、公聴会などが開催されることもある。また、財務省や外務省など、重要な政策課題についてNGOと定期的に協議会を開催しているケースもある。

策定・見直しのプロセスに関する提言

政策文書の策定・見直しにあたり、パブリックコメントや公聴会が開催されない場合は、できるだけ早い段階でそれらの実施を要求し、意思決定の透明性を図っていくことが重要になる。日本の省庁がパブリックコメントや公聴会を行う場合、案の検討段階においてしか行われないことが多いが、海外や国際機関では、政策文書の見直し時には、第一案、第二案、最終案など、各案ごとに、パブリックコメントや公聴会を複数回実施することも見られる。

提言書・要請書の書き方

意見の内容を政策担当者に理解してもらい、その政策に反映してもらうためには、論理的な文章で提言書・要請書を書く必要がある。提言書・要請書に必要な内容としては、政策文書の中で該当する箇所、その政策文書に記述されている内容、変更するべきポイント・代替案、変更するべき理由があげられる。パブリックコメントとして市民から意見を受け付ける場合は、集められたコメントは論点ごとに内部で検討されることになる。したがって、各論点ごとにポイントと理由を書き込むことが大切である。

なお、意見の説得力を向上させる方法としては以下がある:

  1. 上位の政策(例えば国際基準や日本が批准した条約、憲法や法律)との差異があり、その一貫性を求めること
  2. 既存の政策、これまでの前例と異なり、その一貫性を求めること
  3. 他国の政策との違いを指摘すること
  4. 根拠となる科学的データやその算出方法の正当性が低いと考えられる場合にその点を指摘すること
  5. 多くの市民の声を見える化すること

パブリックコメントの結果をどう読むか?

よくパブリックコメントで集めた意見のなかで、「○○に賛成の意見が○通あり、反対の意見が○通ありました」といったような結果報告が見られるが、業界団体などが、まったく同じ提言書を複数の人間の名前で出していることも多く、このような報告はほとんど意味をなさないものである。パブリックコメントの目的は、論点ごとの論理対立の明確化にあり、科学的根拠や論理構築が不十分な政策を排除し、真に公平・公正な政策を構築することにある。したがって、パブリックコメントをただ実施するだけでは不十分で、実施後には、集められた意見を論点ごとにまとめ、それらの論点に対する政府から返答・方針・理由が示されなければ意味を成さないだろう。